”A-griffe/アグリ”のブランドの生い立ち 私たち二人はもともとお洋服の業界にあこがれ、お洋服のデザインをする会社でデザイナーとして働いていました。 今から約25年前ですね。 その頃はバブルの末期で、「手のこんだいいデザインの商品」がまだたくさん売れている時代でした。 しかし「アジアなどの海外生産でいかに安く、大量につくるか」がスタートした時代でもありました。 徐々に「アジアなどの海外で商品づくり」をする会社が増えていくにつれて私たちデザイナーに求められるものが変わっていきました。 それはいかに「素晴らしい商品をデザイン」をするか ではなく、いかに「大量に売れる商品をデザイン」するか でした。 海外でで安く作るには大量に作らねばならず、日本全国の誰でもが持つことができるシンプルなデザインの商品が求められました。 作り手側の都合ですね。 そして似たようなデザインの安価な、しかし質の悪い商品が世の中に溢れました。 私たちはこの業界のありように疑問を持ち、自分たちのブランドを立ち上げることにしました。 最初は海外から珍しい生地を買い付けて見よう見まねで鞄を作り始めました。 お洋服とは勝手が違い苦労しましたが、何とか形になるようになり珍しい生地しか使わなかったので百貨店などでイベントができるようになりました。 そして、かねてからの夢であったパリでの展示会で海外の方々に商品を見てもらう機会に恵まれました。 しかし海外で調達した生地は日本では珍しいですが、海外では当たり前でした。 なんとか温もりが伝わる商品が作りたい。 色々な素材を探し、試しましたが、結局たどり着いた答えは自分たちで素材を作るしかない、しかも一点ものをつくりたい。 試行錯誤の上、ヴィンテージの雑誌を一点物としてハンドコーティングしてみようということになりました。 市販のコーティング剤も少ない時代で、手に入るものは全て試しましたが、ひび割れ、剥離、経年変化による加水分解などきちんと物を入れるバッグとして2年、3年はとても耐えられないものばかりでした。 それではコーティング剤から作るしかない。材料メーカーを何軒もまわり、作っては試し、作っては試し、を繰り返し何とかものになるまで3年以上かかりました。 今から10年前のことです。 そして10年前の2006年に”A-griffe/アグリ”ブランドの世界に一つだけのバッグ、”リアルヴィンテージトート”が誕生しました。 それからの10年の間も更に改良に改良を加え強度、手触り、革のような経年変化などに磨きをかけることができました。 ただ今も、手作業でヴィンテージの雑誌やヨーロッパの新聞を分解し、どの柄をどの位置に配置するかを決めて、コーティングも一点一点ハンドメイドのコーティングを施しています。 これは今後も変わりません。 そしてそのノウハウを”オーダーメイド”として生かし色々なお客様の”想い出”をバッグやお財布などに仕立てています。 藤井タケヲ
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